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はじめに
『World employment and social outlook(世界の雇用及び社会の見通し・英語)』の2015年版は、世界では労働者全体の60%以上が、雇用契約が一切ない状態で働いていることが示されました。その75~90%は、アジア太平洋地域の新興国と途上国に集中し、短期契約や臨時契約による雇用、契約が全くない場合が多いインフォーマルな仕事、独立自営の請負労働や無給の家族労働に従事しています。これにより、労働市場では社会保障がほとんどないか、全くない状態のもと、低賃金、不安定な雇用契約を強いられる労働者が増え、多くの場合で労働災害の危険にも晒されています。
公共サービス部門では、民営化とアウトソーシングにより、若年労働者の求人をめぐる雇用と政策に大きな変化が生じました。公共サービスの民営化とアウトソーシングは、人間らしい労働基準の確保に必要な手当等が得られない状況を生むことで、働く人々と職場に負の影響を与えます。若年労働者はこうした状況の中で、最も不利な立場に置かれています。若者がますます弱い立場に置かれる状況は、世界的な現象であり、経済状況や先進国・途上国の別を問わず、各地で発生しています。
一方で、大規模な緊縮財政政策は、公共サービスの予算を削減し、雇用創出を阻んできました。緊縮財政は、公共部門の大規模な削減を引き起こし、公共部門の労働者の手当や雇用が犠牲になりました。こうした、若年労働者の不安定な雇用条件により、労働者に組織化する権利が確保されず、法律によって保護されることがない場面において、労働組合の組織力が弱体化することとなりました。私たちは、世界各地の組合が、経済、政治、社会環境において、金融関係者と大企業、政府による前例のない攻撃に対し、労働者の暮らしと権利を守るために団結し、戦っていることを認識しています。
若年労働者は、こうした攻撃に最も狙われやすく、若年労働者に労働運動に参加してもらうのは容易ではありません。たしかに、組合が賃金と労働条件を要求する従来の戦いだけに注目した古い体質のお役所的な存在として捉えられるのであれば、若年労働者の組織化は困難でしょう。しかしその一方で、多くの若年労働者が、組合こそ「従来」の役割を超えて変化を生む媒体であると認識しています。力と活気に満ちた現代の公共部門組合は、政治、社会、経済の領域で、影響力を発揮しています。
攻撃に対抗するための若年労働者の力を増大させるためには、組合による行動が不可欠です。また、若年労働者に資金を投じることで、労働者全員のより良い暮らしに向けて、組合の力を増強することができます。
若年労働者とはどのような人々か
若年労働者の定義は、文化や歴史、社会的な文脈によって様々です。PSI加盟組合では、若年労働者とは一般的に、18~35歳までとされています。若年労働者は皆同じわけではありませんが、問題は共通です。
なぜ組合が大事なのか
若年労働者の将来的な見通しと組合は直接関係があります。組合は、メンバーの労働条件と賃金を改善し、職の保証を確保するために、私たちに得られる最強の媒体です。組合は、社会正義のための戦いに向けて、私たちが力を合わせる場です。組合の力は、加盟が支えています。つまり、より良い未来を築くために、若年労働者には組合が必要で、組合には若年労働者が必要なのです。
私たちには、若年労働者に必要なツールを与えるためのアクションが必要です。若者への投資は、より良い世界を築くための機会です。公共部門でも民間部門でも、雇用の創出、労働条件の改善、若者の経済力の向上に焦点を当てていかなければなりません。
また、労働運動で若年労働者の声を増強させること、若者の連帯を促すこと、組合運動とPSIにおいて若者の積極的な参加を促す新たなアイデアを実践することに、支援が得られなければなりません。加盟組合は若手労働者の代表性増強と、幹部職、意思決定機構および組合活動への参加拡大という重要な役割を果たします。
PSIの立場
PSIは、自らの生活に影響を与える変化と意思決定において、意見を有する若者を支援します。PSIは、若者が欲するものと、若者にとって大事なものを定義する彼ら自身の声と言葉を活用する中で、若者自身の参加と関与を奨励します。持続可能な変化を達成するために、若者には発言権を与え、また、その発言を聞いてもらう必要があります。
PSIは若手労働者が懸念する問題と、若者が直面する問題に直接取り組むことを目標としています。世界の若者の社会的地位向上に努め、彼らの言葉で意見を主張する機会を与えることが、PSIの主な優先課題です。これは社会正義の問題であり、労働組合運動自体の将来を作り上げることでもあります。
組合で若者に発言権を与えることが、PSIにとって重要です。すべての教育プログラムにおいて、参加者の30%以上が、若年労働者であるべきです。PSI世界執行委員会では、若手労働者の代表権が確保されています。さらに、PSIは、加盟組合が効果的な若手労働者機構と研修プログラムを設ける取り組みを援助しています。
アジア太平洋若年労働者フォーラム
PSIアジア太平洋地域総会(APRECON[1])は、2016年10月9日にアジア太平洋若年労働者ネットワーク(APRN)フォーラムのイベントを開催するために、会場を提供し、同地域の若年労働者を一堂に集めています。
目的:フォーラムは、APRECONに先立ち、若年メンバーの声を届け、彼らの提言がPSIの政策とプログラムに盛り込まれるようにするための一歩です。フォーラムの目標は以下のとおりです。
参加者:35歳以下のPSIメンバー。PSI第13回APRECONの労働組合代表団のメンバーが参加することもできます。さらに、若年労働者メンバーで情報を共有し、ネットワーク強化を図るために、PSIや他の地域の若年労働者メンバーを招待する可能性もあります。
発表者、リソースパーソン:フォーラム参加者から選抜した発表者、PSIスタッフ、外部の専門家など、多くの発表者とリソースパーソンが発表します。
コミュニケーション活動
フォーラム委員会:フォーラム参加者の中から、委員会メンバーを選抜します。委員会メンバーには、アジア太平洋若年労働者ネットワークからAPRECONに向けた勧告案を作成してもらいます。
報告者:参加者から選ばれた2名が、参加者およびAPRECONに対するフォーラムの報告作成を手伝います。
ソーシャルメディア:ライブストリーミング(FacebookやYouTubeにリンク)やTwitter(@PSI4Youth、ハッシュタグは#APyouthForum2016および#APRECON2016)を通じて議論の展開を公開します。
若年労働者ブース:ミーティングホールのブースでは、若年労働者自身、ならびに若年労働者が所属する組合の情報資料(バナー、リーフレット、Tシャツ(あれば)、冊子など)や活動写真を配布、展示します。
プログラム
2016年10月9日(金) |
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8:00 |
受付 若年労働者ブース(会議場外に展示が可能な場合。不可能であれば会議場内に展示)- 展示用の資料と情報 |
インダー・ブディアルティ(組織化、コミュニケーション担当コーディネーター) |
8:30 |
導入と開会 - |
ファシリテーター:アシュヴィニ・アンビハイパハール(オセアニア若年労働者ネットワーク・コーディネーター) |
8:45 |
歓迎のことばと概要 若者のイベントとそのテーマについて |
ファンディ・セティア( APYNコーディネーター) |
9:00 |
歓迎のことば – 国際公務労連(PSI)の全体像:国際労働組合運動、若年労働者、組織化に関する政策と主な論点 |
ローザ・パヴァネリ(書記長)
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アジア太平洋の若年労働者に寄与する地域政策とアクション |
ラクシュミ(AP地域書記) |
9:30 |
セッション1:全体プレゼンテーション 若年労働者とその家族が直面する問題は何か。それが今日の組合と労働者にどのような影響を与えるのか
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モデレーター:ニック・ケリー(NZPSA/オセアニア若年労働者ネットワーク・コーディネーター) (1) トーマス・ホフマン(オーストラリア、NSWNMA) (2) チランジビ・グラガイン(ネパール、NFWU) (3) ファンディ・セティア(インドネシア、PPインドネシア電力) |
10:30 |
コーヒー/ティー休憩 |
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10:45 |
セッション2:若年労働者と新世代の労働組合運動
会場からの質問 |
ファシリテーター:アシュヴィニ・アンビハイパハール(オセアニア) (1) 中村隼人(PSI-JCユースネットワーク共同議長)) (2) シュウェタ・トリパティ(インド、HMSIWA) (3) マリヴェル・ガーガリカナ(フィリピン、CIU) |
11:45
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セッション3:若年労働者組織化のアジェンダ
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ファシリテーター:アシュヴィニ・アンビハイパハール(オセアニア)
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12:30 |
セッション3の全体報告 概要、閉会、感謝の決議
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ファシリテーター:アシュヴィニ・アンビハイパハール(オセアニア若年労働者ネットワーク・コーディネーター) 報告者:ニック・ケリー(NZPSA/オセアニア若年労働者ネットワーク・コーディネーター) |
13:00 |
昼食 |
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午後の会議は一部のフォーラム委員会のみ(15:00~17:00)
次のステップ ― 勧告と報告 |
フォーラム委員会 報告者のみ |