11 October 2016
労働組合は、変化する労働の世界における女性の経済的エンパワーメントにおいて、中核的役割を果たします! 今こそ女性にディーセントな賃金、公共サービス、平等の権利を! 第61回国連女性の地位委員会(UNCSW61)に先立ち、国際公務労連(PSI)は日本で開催されるアジア太平洋地域総会(APRECON)で、女性の経済的エンパワーメントのためのキャンペーンを立ち上げます。
PSIや他の労働組合は、毎年、国連女性の地位委員会(UNCSW)に参加しています。UNCSWは、他の進歩的な組織との協調体制を構築し、ジェンダー平等に関する世界の政策を動かすためのまたとない機会を与えてくれます。また、女性の権利を促進し、世界の女性の生活の実情を記録し、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関する国際基準を形成する手段となります。
2017年に開催されるUNCSW61のメインテーマは、変化する労働の世界における女性の経済的エンパワーメントです。これは労働組合運動にとって、その要求を提起し、女性の労働者としての権利を議論の中心に据えるための重要な足掛かりになるでしょう。UNCSW61の成果に影響を与える目的で、10月9日にキャンペーン活動を立ち上げ、2017年3月まで継続します。
「福岡声明(Fukuoka Statement)」は、15時45分、アクロス福岡において、アジア太平洋地域から集まった70人の女性リーダーによって発表されます。「変化する労働の世界における女性の経済的エンパワーメントにおいて、中核的役割を果たす労働組合」をスローガンに、この声明はUNCSW61に向けたロードマップとしての役割を担います。同じく10月9日には、17時から18時まで、アクロス福岡の近くで街頭集会が予定されています。
労働組合が職場と社会における女性の権利擁護に果たす役割は、今やこれまでになく明白です。PSIとその支持者は、平等と社会正義という目的に向けて、引き続き積極的に活動を行います。
「福岡声明」で取り上げる要点について、以下に掲載します。
- 国家間でも一国内でも不平等は過去20年間に著しく拡大し、GDPに占める賃金の割合は、70%を上回る国々で低下しました。労働の世界の変化が意味するのは、労使関係の不安定化、非公式化です。それによってあらゆる人々が影響を受けますが、主として貧困層、中でも女性や社会的弱者が悪影響を被ります。
- 財政緊縮計画や構造調整計画により、公共サービスは世界各地で、新たな公的管理と効率の名の下、合理化され、数値化され、営利化されています。こうしたことは、住民による公共サービスの利用と利用可能性に悪影響を及ぼし、公務労働者の労働環境を悪化させます。公共サービス部門の雇用には、ほとんどの国で性別による職務分離が垂直方向と水平方向に著しく見られます。女性の大多数は、若年女性労働者を含め、雇用ピラミッドの底辺にとどまっています。
- 女性は性別分業によって孤立し負担を強いられ、再生産領域に追いやられています。結果的に無償の育児・介護労働に従事することが増え、なにより女性が多数を占める職業への軽視が進んでしまいます。それによって差別、労働の社会的過小評価、女性に期待される従属的役割が永続します。
- 公共サービス部門の雇用における分離と差別は、人種および民族に基づくこともあり、同様にLGBTIや障害労働者にも当てはまります。
- PSIと世界の労働組合は、国連女性機関(UN-WOMEN)への圧力を強めるために、民営化とグローバルな企業勢力に反対し、ジェンダー平等に配慮した質の高い公共サービスへの普遍的アクセスを求めて活動している女性の社会運動との連携を強化し、公共サービスへの投資手段としての官民パートナーシップの促進に反対します。
- 国際労働機関(ILO)が示すディーセントワークの4本柱は、雇用の創出、労働者の権利、社会的保護、社会対話であり、これらは経済的エンパワーメントの骨組みとなります。持続可能な開発目標(SDG)の目標8は、ディーセントワークと経済成長に焦点を絞っており、若者や障害者を含むすべての男女に対する生産的な完全雇用とディーセントワークの実現や、同一価値労働同一賃金の実現といったターゲットを設定しています。私たちは女性移民や不安定雇用に従事する人々を中心に、移民を含むすべての労働者に対し、その権利を擁護し、安全かつ安定した労働環境を促進しなければなりません。
- 男女間の不均衡な力関係の表れであるジェンダーに基づく暴力を終わらせることは、労働組合の1つの優先事項であり、私たちは現在、労働の世界で行われているジェンダーに基づく暴力に対処するため、新たなILO条約の制定を求めて運動を行っています。